【腹直筋離開とは】
白線という言葉を聴いたことがありますか?
白線とは、左右の腹筋群をつなぐ割れ目で
胸骨の先から恥骨まで長く伸びています。
この白線が左右に大きく引き伸ばされ、
ひらいてしまうことを腹直筋離開といいます。
【どうして開いてしまうの?】
離開がおきてしまう原因は様々ですが、
少し前までは妊娠後期や産後数ヶ月のお母さんたちに多く見られていました。
妊娠中に分泌されるリラキシンというホルモンにより腹部が引き伸ばされることに加え、妊娠後期になると胎児の成長に伴いお腹は大きくなり、白線を大きく引き伸ばします。
また、妊娠・出産を経て生じる骨盤のゆがみも離開を引きおこすひとつの原因です。
ところが近年は、生活スタイルの変化や筋力不足により、
妊娠経験のない人や、産後時間がたっても開いたままの方も増えてきているようです。
【離開があるとどうしていけないの?】
この離開は、体幹の不安定性を示します。
体幹とは、横隔膜、骨盤底、腹壁の筋肉および結合組織、
腰部・胸部の筋肉および結合組織の4つの壁を含むユニットで成り立っています。
このユニットの要素である腹部に離開として穴があいていたり、
骨盤底が緩んでいたりすると、体幹はしっかりと機能できないのです。
体幹の不安定性が引き起こす障害は様々。
腰痛や膝の痛み、肩こりなどの慢性的なお悩みを引き起こす原因にもなります。
【腹直筋離開セルフチェック】
ご自宅で簡単に出来るセルフチェックで、ご自身の離開をチェックしてみましょう!
1.仰向きに寝転んでひざを曲げ、へそを見るように頭を持ち上げる。
2.指を、図のように矢印の方向に動かし、溝が認められるかどうかをチェック。
【どんなアプローチが必要?】
全身は筋膜という組織で覆われています。
全身タイツのようなイメージですね。
そこの一部に穴が開いているということは、
その他のタイツの部分に必ず「しわ寄せ」が来ています。
全身の状態をチェックし、「しわ寄せ」が来ている部分を把握します。
ストレッチやマッサージを行いながら全身のバランスを整えていくことが大切です。
さらには、体幹のユニットをしっかり使えるようなコンディショニングが必要です。
それらのコンディショニングには単なる腹筋運動だけではなく
骨盤底筋トレーニングや、正しい呼吸法、腹横筋トレーニングなど、お含まれます。
指二本以上の幅など、離開度が大きい場合にはこの分野に特化している医療従事者(理学療法士や助産婦など)やトレーナーのアドバイスを仰ぎましょう。