寄稿者:R-body 宮山卓也
最近は「予防医学」や「未病」という言葉をよく耳にするようになったのではないでしょうか。
この考えは現代の健康管理において非常に重要な役割を持つと考えられています。人生100年時代と言われる今、これまでより労働時間が増えることも予想されています。70歳まで現役で働く、ということも普通になってくるのではないでしょうか。そしてモノで満たされ、物質的な不足が少ない昨今、病気や怪我に悩むことなく心身ともに健康でいることの重要性は、人生の質を高めるためにこれまで以上に高まると思われます。
今回のテーマは「予防医学」についてです。これは病気の発症を未然に防ぐことに焦点を当てた医学の分野です。この分野は、一次予防、二次予防、三次予防の3つに分類されます。
- 一次予防:健康な人が病気にならないようにする取り組み
- 二次予防:早期発見・早期治療により、病気の進行を防ぐ取り組み
- 三次予防:病気の悪化や再発を防ぐ取り組み
予防医学の実践により、個人の健康維持だけでなく、社会全体の医療費削減にも貢献することができます。
また似たような言葉で「未病」という言葉がありますが、これは病気には至らないものの、完全に健康な状態でもない中間的な状態を指します。具体的には、以下のような状態が未病に該当します。
- 自覚症状はないが、検査で異常が見られる場合
- 自覚症状はあるが、検査では異常が見られない場合
未病の段階で適切な対策を講じることで、病気の発症を遅らせたり、予防したりすることが可能になります。
予防医学や未病対策は、健康寿命の延伸につながる重要な取り組みです。日本人の平均寿命と健康寿命の間には約10年のギャップがあり、この期間をいかに短縮するかが課題となっています。
未病の段階で生活習慣を見直すことで、以下のような効果が期待できます。
- 病気の予防
- 発症時期の遅延
- 健康寿命の延伸
また、経済産業省の報告によると、2016年のヘルスケア産業市場規模は約25兆円、2025年には約33兆円になると推計されており、国としても生涯現役社会の構築を目指して健康に関する取り組みが行われています。
ここからは病気になってしまうきっかけについて考えたいと思いますが、そのうちの一つとして、神経、骨、関節、筋肉などの運動器の衰えが挙げられます。
例えば筋力や関節柔軟性の低下や、身体をうまく操るための神経伝達の機能低下が原因で、何かにつまづいて、大腿骨の骨折をしてしまったとします。
それがきっかけで入院し、体力レベルも落ちて運動量が減るが食事量は変わらず、何年か経って糖尿病になってしまう、ということも考えられます。
実は内科的な疾患の多くは、運動器の機能低下が原因で起こるという報告もあります。
そのために、適切な運動をしてケガをしないための身体づくりが病気の予防や未病に繋がります。私達R-bodyはそういった目的のトレーニングを「コンディショニング」と言っています。
人間本来の動き、機能を「運動」によって取り戻します。一つひとつの関節が適切に動き、かつそれらを同時に正しく使って動作ができれば、痛みやケガの起きにくい身体を獲得できます。
その目的を達成するために、コンディショニングは以下の順序で行われます。
《手順①》抑制
緊張している筋肉などがあればまずは緩める
《手順➁》活性
身体の主要な部位に刺激を入れて、関節一つひとつが機能するように準備する
よくあるサイドプランクですが、床側の腕の肩甲骨と股関節、そして体幹に刺激を入れる目的で行われます。
コンディショニングにおいては、ただ単にサイドプランクで横の腹筋を鍛える、という着眼にとどまりません。
《手順③》統合
一つひとつの関節の動きを良くしたら、全身を使って身体を動かす
《手順④》負荷をかけたエクササイズ
負荷をかけた中で正しい動作ができることで、日常生活においてもかかる負荷に耐える身体づくり
日常生活における負荷とは、階段を昇り降りする、買い物袋を持つ、荷物を持つ、などが含まれます。
よって、このようなスクワットもただ単に脚の筋肉を鍛えるという狙いではなく、上半身の良い姿勢を保持したまま
負荷をかけて立ったりしゃがんだりすることで、例えば日常で物を持ち上げたときの腰痛を予防することができます。
《手順⑤》疲労回復:エクササイズによって使った筋肉に疲労を溜めないようにする
写真は腿の裏を伸ばすストレッチです。
運動によって正しい身体の使い方、機能的な身体を手にするためには、運動の順番やエクササイズの目的を明確にすることが大切です。ただエクササイズをするのではなく、正しいやり方、効果を理解したうえで行うことで、より良い結果を手にすることができると思います。
予防の観点で正しい運動をして、痛みやケガのない身体を手に入れてライフパフォーマンスが向上する人が増える世の中になると、多方面にメリットがあると思います。